なぜ小学校の飼育教育に「うさぎ」が選ばれるのか
あなたの母校の小学校では、「ウサギ小屋」がありましたか?
かつては、私の母校にはウサギ小屋がありましたし、
他の学校にもウサギ小屋があるのが当たり前でした。
ペットと言えば、犬や猫が代表的ですが・・・。
どうして小学校の飼育教育には
犬や猫ではなく「うさぎ」が選ばれているのでしょうか?
今回は、
「なぜ小学校の飼育教育にはうさぎが選ばれているのか」
ということと、「うさぎ飼育の問題点」、
についてお答えしようと思います!
なぜ、小学校の飼育教育にはうさぎが選ばれるの?
実は、ハッキリした理由は分かっていません。
大昔は、
- 安価だから
- 動物実験に使えるから
- 食用になるから
- 子供に大けがを負わせる心配がないから
など言われていたようですが、真偽は定かではありません。
ただ、確実な情報としては、
文科省の資料「学校における望ましい動物飼育のあり方」において、
学校では、多くの種類の小動物が飼育されている。
本節では、ウサギ、モルモット、ハムスター、ニワトリやチャボの
飼い方について解説する。これらの小動物は、比較的多くの学校で飼われているが、
ここに解説する小動物を、
どこの学校においても飼育することを求めているものではない。
とあります。
文科省としては、小動物の飼育例として、
「ウサギやモルモットを特別に推奨しているわけではない」、
ということが分かります。
同時に、
「これらの小動物は、比較的多くの学校で飼われている」という
事実を認めているので、
ウサギ小屋が多くの小学校に設置されているのは、
大昔からの慣習と考えるのが妥当かもしれません。
もちろん、その慣習が生まれたのにも理由があるはずですが、
残念ながらその由来を調べることはできませんでした。
ただ、犬や猫は、
- 鳴き声の大きさ
- 噛みつかれた時のケガの大きさ
などの点から考えると、
ウサギなどの小動物に比べると不安要素が大きいことは、
容易に想像できますね。
ただ、だからといって
ウサギが飼いやすい動物というわけではありません。
そのため、問題が起きているのも事実です(後述)。
何のためにうさぎを飼育するの?
いくつかの小学校は、うさぎを飼うことを通じて、
子供たちに様々な「教養を身に付けさせることを目的」としています。
動物を飼育することによって得られる「体験や感情」を
身に付けるのは、大人になる過程でとても大事なことですね。
では、どんな教養が身に付くのでしょうか。
次の項目でみてみましょう。
うさぎの飼育教育ではどんな教養が身に付くの?
ここで得られる教養は大人になって役に立つものばかりです。
子供の頃から、飼育できる環境があるのは、
その子供にとって必ずプラスになります。
ここでは具体的に5つ、ご紹介します!
1、責任感
動物を育てることは、その動物の命を守る事です。
育てる事で命の尊さを学び、
共に育て上げていく責任感も育てられます。
2、継続性
「毎日エサをあげる」ことや「定期的にケージを掃除する」ことは、
うさぎを飼育していく上では欠かせません。
この毎日の積み重ねが「継続する力」につながるでしょう。
3、協力性
学校でうさぎを飼う場合、クラスの飼育係が中心になって
交代でお世話をすることが多いと思います。
皆で協力して育てる事は、子供の「協力する精神」を養います。
4、役割分担
「エサをあげる」や「掃除する」など、
役割分担することによって、1つ1つの役割の重要性を学習できます。
5、優しい感情
うさぎが怪我をしたり、病気をした時に、
「どうしたんだろう」、「どうすれば治るかな」といった
思いやる気持ちが育ちます。
病気が良くなってきた時に感じる「安心感」や「喜び」は
子供の感情の豊かさを広げてくれるでしょう。
学校飼育での問題点
うさぎを飼育することは、子供たちにとって良い経験になることを
先ほどはご紹介しましたが、問題点もあります。
学校飼育での問題点は、飼育する環境が作られていなかったり、
飼育する側の知識不足などによって起こります。
では、その問題点を具体的にみてみましょう。
オスとメスを同じケージに入れている
ウサギは多産の動物なので、大変なことになります。
実際、決して広くないウサギ小屋に、
大量のウサギが溢れてしまったという事例があります。
必ずオスとメスは
別々のケージに入れなければならないということは、
動物を飼う人なら誰でも分かることなはずですが・・・。
ケージの管理(外飼い)
学校によっては、外にケージを置いてうさぎを飼っている所も
あると思います。いわゆる、「ウサギ小屋」ですね。
ケージの管理についても、しばしば問題にされています。
ロクな知識も与えずに、
生徒たちに飼育をまかせっきりの学校もあります。
うさぎは本来、キレイ好きな動物なのですが、
ウサギ小屋に近づくと、
動物園のような強烈な臭いがするほど汚れている、
ということも珍しいことではありません。
また、ケージ(小屋)の作り自体の問題により、
うさぎが、野犬や悪意ある動物虐待者のターゲットにされる事例も
よく耳にする時期がありました。
健康管理の不備
不正咬合や爪の伸びっぱなしなど、一見すると重病ではない症状が
放置されることも珍しくありません。
子供では手に負えない、教師もウサギにまで手が回らない、
という現実的な問題もあります。
ペットであれば飼い主が責任を負うのは当たり前ですが、
学校の場合、責任者がハッキリしないという問題が起こりやすいのです。
オスとメスの別居やケージの管理など、正しい知識が与えられていなければ、
子供たちに命の尊さを教えるどころか、命の軽視に繋がりかねません。
また、大事に育てていたうさぎが無残な姿で殺されてしまった場合は、
子供たちにとって、大きなショックやトラウマとなってしまうでしょう。
参考動画
この学校のウサギ小屋は、しっかり掃除されており、
性別もメスのみで、ケージも広々としていますね。
夏と冬はうさぎにとって大変な季節かもしれませんが、
広いスペースで、人に触れる時間も短いので、
ある意味、家で飼われるペットより自由かもしれませんね(^-^)
こちらは詳細は不明ですが、「ボランティアさんと生徒みんなの協力によって
とっても良くなった学校うさぎ」とのことです。
緑に開放してあげたりしているようですね!
まとめ
今回は、小学校の飼育教育にうさぎが選ばれる理由と、
飼育環境の問題点についてご紹介しました。
まとめると、以下のようになります!
■飼育教育にうさぎが選ばれる理由
- ハッキリとは分かっていないが、
大昔からの慣習により選ばれている可能性が高い - 文科省は、特別ウサギを推奨しているわけではないが、
ウサギなど5種類の小動物の飼育例を挙げている - 昔からの慣習と、文科省の飼育例により、
今でも上記5種の小動物が選ばれやすい
■何のためにうさぎを飼育するのか
- 責任感
- 継続性
- 協力性
- 役割分担
- 優しい感情
などを養うため。
■飼育上での問題点
- 性別ごとにケージを分けていない(大繁殖)
- 外飼いのケージ(小屋)の管理不備
- 飼育上の知識が浸透していない
私が小学生の時代では、
「ウサギ小屋は設置されていて当たり前」、
という位に浸透していましたが、
近年では小屋がない小学校も珍しくないようです。
上記問題に加え、費用の問題点もあるのかもしれません。
昨今では様々な問題点について世間の目が厳しいので、
ウサギの飼育も、学校にとっては
敷居が高くなってきたといえるでしょう。
生き物を飼うことは貴重な経験ですが、
問題を抱えた状態で飼育されるウサギも可哀想なので、
ケージの管理、飼育知識の教育をしっかりして
取り組んでいただきたいと切に願います。
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